軟弱地盤に対する工法は数多くあります。
各工法についてみていきましょう。
軟弱地盤とは?
軟弱地盤とは、沖積低地における扇状地,自然堤防,後背湿地,三角州…etc
これらが堆積した軟弱な土層で構成される地盤
その土層構成は堆積地の地形的状況から地質的な土層構成を予測することが出来る
泥炭質地盤
繊維質な高有機質土や分解の進んだ高有機質土からなり、
含水比≒300%以上・間隙比≒7.5以上・一軸圧縮強さ≒0.4kgf/cm2以下・N値≒1以下
の高含水比で高間隙比な非常に軟弱な地盤
粘土質地盤
有機質な粘性土地盤やシルト,粘性土の土質からなる地盤
有機質粘性土の含水比は、200~100% 間隙比は、5~2.5程度
シルト,粘性土の含水比は、100~50% 間隙比は、2.5~1.25程度
どちらも一軸圧縮強さ≒1.5kgf/cm2以下・N値≒4以下
砂質地盤
砂質土及び砂からなる地盤
砂質土
含水比≒50~30%・間隙比≒1.25~0.8程度
砂
含水比≒30%以下・間隙比≒0.8以下
どちらもN値は10以下
地震に対して液状化現象の検討を要する
軟弱地盤の対策工法
表層の改良
表層処理工法
表層排水工法
基礎地盤の表層に排水溝を掘って排水し、含水比を低下させる工法
サンドマット工法
サンドマットを敷設して圧密排水の排水層として機能させる工法
敷設材工法
表層に化学繊維布やネットなどを敷設し支持力を増加させる工法
表層安定処理工法
石灰やセメントなどで改良し支持力を増加させ、施工機械のトラフィカビリティーの確保,低盛土の基礎処理や路床部を改良する工法
軟弱地盤層の改良
置換工法
掘削置換工法
軟弱層の一部または全部を除去し、良質な材料に置き換える工法
圧密促進工法
載荷盛土工法
盛土や構造物の構築に先立ち、あらかじめ荷重を載荷することで圧密沈下を促進させ残留沈下量を低減する工法
地下水位低下工法
地盤中の地下水位を低下させることで、軟弱層が受けていた浮力に相当する有効応力を増加させ、圧密沈下の促進を図る工法
大気圧載荷工法
軟弱地盤中の空気を真空ポンプを用いて排除することで、気圧差をつくりこれを荷重として圧密沈下の促進を図る工法
バーチカルドレーン工法
軟弱地盤中に砂杭などの鉛直排水柱を打ち込み、水平方向の排水距離を短縮することによって圧密沈下の促進を図る工法
締固め工法
サンドコンパクションパイル工法
地盤中に砂を圧入し、砂杭を構築し地盤の支持力の向上及び強度を増加させる工法
振動締固め工法
砂地盤中に棒状の振動機を挿入し、振動部分から水を噴出しながら地盤を振動,水締めし、支持力の向上を図る工法
動圧密工法
10~20tの重錘を10~30mの高さから落下させ、衝撃力によって地盤を締固め支持力を向上させる工法
固結工法
石灰パイル工法
地盤中に生石灰の柱を構築し、生石灰の化学反応による水分の脱水と消化後の消石灰とのポラゾン反応による強度増加を図る工法
深層混合処理工法
地盤中にスクリューオーガを用いて石灰やセメントをスラリー状または粉末状態で送って撹拌し、地盤改良を図る工法
薬液注入工法
地盤中に薬液を圧入し、地盤の強化,止水をする工法
盛土構造の改良
構造変更
押え盛土工法
盛土本体の側方に腹付け盛土を行い、盛土の安定を図る工法
補強土工法
盛土内に層状に強靭な樹脂製又は鋼製ネットなどを敷設する工法
荷重軽減工法
軽量な盛土材料やコルゲートパイプなどを用いて盛土荷重を軽減する工法
構造物
矢板工法
圧密沈下を遮断したり、滑り破壊を防止する工法
パイルネット工法
軟弱層中に多数の木杭を打ち込み、その頭部をワイヤーで結び、敷網などを行ってその上に盛土を行う工法
パイルスラブ工法
木杭やコンクリート杭を打ち込み、そのパイル上にコンクリート床を構築して盛土荷重を支持させる工法
まとめ
このように軟弱地盤の対策工法は数多くあり、現場に適した工法は
軟弱地盤の土質,堆積条件,地形的環境によって異なる。
工法選定には、土質条件・施工条件等を考慮しましょう。