コンクリート構造物の取り壊しにはいくつかの工法があります。
施工条件によって最適な工法を選定することがポイントです。
検討事項
- 騒音・振動の許容度
- 対象構造物の形状・部材厚
- 取壊し総量
- 重機の施工スペースの有無
- 施工地盤
- 粉塵等の飛散養生の要否
- 対象構造物の高さ・壊す向き
- 周辺状況(住宅・車道の幅員など)
- 鉄筋切断方法
- 廃材の搬出方法
- 安全性・経済性
- 工事期間
各種工法の比較
ハンドブレーカー工法
◎利点
- 持ち運び易い・移動性に優れている
- 狭い場所でも作業が可能
- 安全性が高い
✔欠点
- 騒音が大きい
- 振動,粉塵が発生する
- 上向き作業は危険
- 作業員の連続作業ができない為、能率が悪い
適用範囲
- 取壊しの総量が5m3未満などの小規模施工
ジャンボブレーカー工法
◎利点
- 機動性に優れる
- 比較的能率が良い
- 費用が安価
- 安全性がかなり高い
✔欠点
- 騒音が大きい
- 振動,粉塵が発生する
- 上向き作業は不可
- 強固な作業床と広い施工スペースが必要
適用範囲
- 一般的な工法
- 施工地盤から上下5m程度以内の取り壊しに適する
スチールボール工法
◎利点
- 能率がかなり優れている
- 費用が安価
✔欠点
- 騒音,振動がかなり大きい
- 飛散物,粉塵が発生する
- 建物が隣接する場合は不可
- 安全性が低い
- 鉄筋の切断は難しい
適用範囲
- ビルの解体
- 広範囲を取り壊す場合
圧砕工法
◎利点
- 騒音は小さく,振動はかなり少ない
- 能率に優れている
- 費用は比較的安価
- 安全性がかなり高い
✔欠点
- 粉塵が生じるため散水が必要
- 飛散物が発生する可能性がある
- 強固な作業床と広い施工スペースが必要
適用範囲
- 一般的な工法
- 部材厚150㎝程度までに適する
ウォールソー工法
◎利点
- 振動,粉塵の発生が無い
- 騒音が少ない
- 施工スペースを取らない
- 安全性が高い
✔欠点
- 工事費が高い
- 散水処理が必要
- 切断後の二次破砕が必要となる場合がある
適用範囲
- 部材厚50㎝程度までに適する
- 応用範囲が広い
- 薄壁に適している
ワイヤーソー工法
◎利点
- 振動,粉塵の発生が無い
- 騒音が少ない
- 施工スペースを取らない
- 安全性が高い
- 正確に切断が行える
- 鉄筋の切断が可能
✔欠点
- 工事費が高い
- 散水処理が必要
- ビニールコードなどの柔らかいものは切断しにくい
適用範囲
- 切断面積15㎡程度までに適している
静的破砕材工法
◎利点
- 無騒音,無振動,無粉塵
※削孔時を除く - 狭小な箇所でも施工可
- 安全性が高い
- 施工が容易
✔欠点
- 鉄筋コンクリートの破壊は困難
- 時間がかかる
- 能率が悪い
- 温度依存性が高い
適用範囲
- ブレーカー工法の補助的な工法
- 地中障害物などの取り壊しに適している
ウォータージェット工法
◎利点
- 振動が少ない
- 能率が良い
- 鉄筋コンクリートの切断が可能
✔欠点
- 騒音がかなり大きい
- 装置が大型
- 大量のスラリーが発生する
- 飛散物が発生する場合がある
適用範囲
- 軟岩の掘削に用いる
- 切断深さ70㎝程度までに適する
まとめ
コンクリート構造物の取り壊し工法は複数あるが、現場状況に応じて
適した工法を選択することが重要である。
昨今では、住民の公害に対する関心が高まっているため
状況を把握し、場合によっては工法を変更することもポイントです!