こんにちわ! 今回は、公共工事受注後最初に何をする?に引き続き、
『現場開始までに準備すること』についてお話していきます。
準備することについて、以下にリストアップしてみました。
- 施工計画書の作成 ※記事を別に用意しております!
- 使用材料の承諾
- 予算書の作成
- 施工体制台帳の作成
- 各関係機関への届出
- 地域住民への工事周知
- 仮設関係の段取り
- 安全書類の整備
- 工事予告看板,掲示板の設置
大きく挙げるとしたら、このくらいでしょうかね。
今回は、下請負業者が入る前提でお話していきます。
また、施工計画書の作成については別に記事のご用意がありますので、
そちらをご覧ください。
使用材料の承諾
設計図書をもとに、必要な材料を拾い出し、「設計品と同等品以上の材料を使用します!」
ということに発注者から承諾を頂くものになります。
必要な情報・資料
- 材料名,規格,製造業者
- コンクリート二次製品や工場生産品については製品の寸法図
- 骨材等については、土質(材料)試験成績書など
- レディーミクストコンクリートについては、配合計画書
- アスファルト混合物は、配合設計書 etc……
これらの資料をファイリングし、使用する2週間ほど前に提出して、承諾をもらうこととなります。
予算書の作成
工事に掛かる、『人件費』・『材料費』・『外注費』・『経費』を算出し、会社にどれくらいの粗利が残るのかを確認します。
粗利とは・・・・ 契約した金額(売上) - 工事原価 = 粗利
工事原価=人件費+材料費+外注費+経費
建設工事では、一般的には粗利がどのくらいなのか?というのが重要となってきます!
まずは自分で予算書を作成し、積みあがったら上司へ確認をしてもらい、会社の許可をもらう。
原価を圧縮させ、利益を確保したいという時は上司に相談してみましょう。
但し、「単純に積み上げたらこのようになりました!」ではなく、なぜそうなったのか、要因を必ず把握しておくと良いでしょう。
粗利がめちゃくちゃ出て儲かりました、原価が契約金額よりもかかって赤字だ…
ということも多々あります。
なぜそうなったのかという分析、どうやったら改善できるのかという検討が重要です。
施工体制台帳の作成
施工体制台帳とは
- 下請業者の請負金額が4,000万円(建築一式工事の場合は 6,000万円)以上の工事の場合
※令和4年1月現在 - 金額関係なく、公共工事において下請契約を行った場合
上記に該当する場合に必ず作成しなければなりません。
『必要な情報・添付書類』
【元請負会社で用意,作成するもの】
- 発注者との契約書(写し)
- 建設業の許可書(写し)
- 施工体系図
- 主任技術者の資格者証(写し)
- 実務経験証明書
- 一次下請負会社の施工体制台帳
- 一次下請負会社への見積依頼書,注文書及び注文請書
【下請負会社で用意,作成するもの】
- 再下請負通知書
- 建設業の許可書(写し)
- 主任技術者の資格者証(写し)
- 実務経験証明書
- 下部の下請負会社との注文書,注文請書
※該当する場合
公共工事では、これらを用意,添付し、ファイリングしたものを、発注者へ提出し確認を得ます。
各関係機関への届出
これに関しては、現場によって該当するもの,しないものがありますので、
一般的に必要なものをご紹介します。
- 道路使用許可申請(管轄する警察署)
- 道路占用許可申請(道路管理者)
- 道路工事届(管轄する消防署)
- 特定元方事業者報告(管轄する労基署)
- 特定(指定)建設作業実施届出書(市役所)
現場によっては、大型進入禁止,一方通行禁止の解除や特殊車両通行許可申請が必要となる場合がありますので、現地踏査の際にあわせて確認をしておきましょう。
地域住民への工事周知
工事現場では、民家と近接していたり、近くに学校があるなど、
地域や周辺環境へ配慮を行う必要があります。
工事受注後に「工事のお知らせ」を作成し、まずは関係する町内会長や自治会長等へアポを取り、工事の内容や期間,規制を行うことについて説明を行います。
また学校などの公共施設がある場合にも忘れずに周知を行いましょう。
それから工事の沿線や周知の必要な箇所へお知らせを配布し、工事の周知を行います。
いきなり工事を始めると、「なにしているんだ!」・「お知らせも無しに道路を規制するな!」などトラブルになることが考えらえれます。
トラブルをなるべく回避するためにも、周囲への配慮,コミュニケーションは大切ですね。
仮設関係の段取り
現場によっては、材料保管や骨材置場等でヤードが必要となる場合があります。
会社のヤードを使うと場所を取り過ぎたり、距離が遠く工事車両の回転率が悪くなる
なんてことがあり得ます。
そのため、仮設のヤードを用意する必要が出てくる場合があるので、そういったことも視野にいれ施工方法を検討することも重要です。
例えば、誰かの土地を借りたとしても、通路を傷めないよう、敷鉄板を敷設したり、仮囲いを設置したりとヤードに対する仮設も必要となることがありますので、事前の準備が重要です。
安全書類の整備
現場を安心して開始できるよう、安全書類を整備しましょう。
【元請負会社が用意,整備するもの】
- 自社労務の作業員名簿
- 使用機械の整備,点検表
- 始業前点検表
- 危険予知活動報告書 記入用紙
- 新規入場者教育資料・記入アンケート
- 下請負会社へ送り出し教育資料の配布
- 安全教育用資料
- 作業日誌,巡回記録表
- 災害防止協議会の設置
【下請負会社が用意するもの】
- 作業員名簿
- 作業員の資格者証
- 重機作業計画書,作業手順書
- 持込機械届,工事車両届
- 始業前点検表
- 作業主任者選任の届出
- 年少者,高齢者の就労報告書
これらをまとめ、整備しておくことで、ばたばたすることなく
安心して現場に乗り込むことができます。
また、万が一事故が発生するということがあり得ますので、
普段からの安全関係書類の整備を行いましょう。
会社や自分自身の身を守るためにも重要なことだと、私個人的には思っております。
工事予告看板・掲示板の設置
工事予告看板は、「こんな工事をいつからいつまでやりますよ」とか「この時間帯は、通行止めになります」など地域住民だけでなく、通行者,通行車両に対してもアピールとなります。
周辺住民は分かっていても、ただ通りかかった人は分からないということは多々あります。
前述の通り、後々のトラブル回避に対する対応として、予告はしっかりと行いましょう!
掲示板とは
- 元請負会社の労災保険関係成立票
- 元請負会社の建設業の許可票
- 施工体系図
- 建退共の加入証明
- 緊急時の連絡先や対応
- 作業主任者一覧・有資格者一覧
- 作業中止基準
- 安全標識
など、どんな会社がどのような体制で行っていることを周囲に周知する掲示板です。
最後に
現場を開始するまでの準備がしっかりとできていれば、現場が始まっても何も慌てることなく始めることができます。
段取り八分とは、まさにこのことですね!
トラブルはなるべく避けたいけれども、クレームを言いたいだけの人はたまに居ます。
そういった時に、しっかりと準備を行っていれば、胸を張って対応できるでしょうし、
相手も引き下がってくれることが多いでしょう。
現場監督というのは、まさにこの準備作業が重要な仕事の1つであります。
作業員からは現場が始まると暇そうに見えるときもありますが、
それはこれまでの準備をちゃんとしている証拠です。
現場が始まるまでの準備と終ってからの書類整理が業務の中の割合が多いでしょう。
不安な気持ちも下準備を行うことで、払拭できることもあります。
大変な業務ではありますが、頑張っていきましょう!
それでは!