矢板を用いた開削工法は、耐久性に優れた鋼材などを土留材に用いることで
転用ができ経済的な土留工法として多用されている。
この工法は、たわみ性のある壁であり、壁体の変形が大きくなることや
矢板引抜き後に周辺の地盤が沈下してしまうことが短所である。
その沈下原因と対策についてみていきましょう。
引抜き時の沈下の原因
沈下の原因は以下のことが考えられる。
- 矢板を引き抜くことで生じる空隙
- 矢板の容積
- 矢板に付着して上がってくる土砂
またゆるい砂質地盤では、引抜き時の振動によって矢板周辺の土砂が
締固められ、沈下が生じる場合もある。
沈下の対策
沈下対策は『生じる空隙を限りなく少なくすること』がポイント
具体例
土砂の付着が少ないものを使用する
- 錆が無いきれいな矢板を使用する
- 変形していない矢板を使用する
矢板打ち込み時の検討
- 必要以上の打撃による材料破損の発生を無くす
- 精度の良い打ち込みを行う
引抜き方法の工夫
- 高周波バイブロハンマなど、土との付着力を断ちやすい機械を使用する
- 矢板の引抜きをいっきに行わず、土砂との付着を低減させてから引き抜く
引抜き時の空隙充填
- 引き抜いた空隙にベントナイトモルタルを充填する
- 砂を投入し、水締めする
矢板の存置
- 上部を切断し、存置する
まとめ
矢板を用いた土留工法は経済的な工法であるが、
矢板引抜き後に周辺の地盤が沈下してしまう場合がある。
矢板引抜き時に生じる周辺地盤の沈下は、
施工方法の工夫で低減することができる。
対策費用を大きくかけることが対策のすべてではありません。